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▼ スクラップ
2011/02/24【お題】
今日はヒマな日だ。
緊急の仕事はなく、普段の事務仕事も終ってしまった。来客予定もない。
オティアは手持ちの本を読み終わってしまったので、軽くのびをしてなんとなく普段見ない書類ケースを開いた。
……開けなきゃ良かった。
ディフは事件に必要な新聞記事だけでなく、参考になりそうなもの、雑誌や広告のチラシまで大量にため込んでいる。見た目によらずマメなたちのディフは、それらを暇を見てはきちんと整理していたが、ここのところ外まわりや突発のペット探しの依頼が多く、ほったらかしになっていた。
手にとった書類ケースには、新聞や何かのコピー、写真、その他メモや一見なんだかわからないものまで入っている。大半が新聞のはずだが、大きさはまちまちだし、中には切り抜いてすらいないサイズものもあって、明らかに数ヶ月分はため込まれていた。
書類ケースの中にはいくつか仕切りがあって、おそらくディフ自身にはわかるように分けられているんだろうが、ぱっと見ではさっぱりだ。手をつけるにしても、どれをどこに格納するか、いちいち調べなくてはならない。
幸い、時間はたっぷりあるが……ディフは例によって外に出ていて、今日は電話もかかってこない。ディフがいる時に確認をとりながらやるのが1番いいんだろうが、それだといつになるかわからない。今入っている依頼が片づくまでにはまだまだかかるはずだ。
本気でやりだすと数日かかりそうな気がする。
いっそ電子媒体に取り込めば検索効率は上がりそうだな……と考えるが、ディフはアナログが好きらしいので、おそらく却下されるだろう。
しばらく考えて、やはり今日とりかかるのはやめにした。
こういうものは実際に使う人間がわかっていないと、後で困る。
かわりに事務所にある一番古い事件記録簿を取り出す。
データの全てをデジタル化することは、不可能ではないがすぐには無理だ。そして検索性を高めるにはインデックスがあればいい。今もおおむね日付順になってはいるが、時々前後しているし、探すのはディフの記憶に頼るところが大きい。
まず、全てのファイルを事件ごとにナンバリングする。そして簡単な事件の内容などをデータペース化する。それで自分も全部の事件に目を通すことができる。
うん、いい暇つぶしになりそうだ。
緊急の仕事はなく、普段の事務仕事も終ってしまった。来客予定もない。
オティアは手持ちの本を読み終わってしまったので、軽くのびをしてなんとなく普段見ない書類ケースを開いた。
……開けなきゃ良かった。
ディフは事件に必要な新聞記事だけでなく、参考になりそうなもの、雑誌や広告のチラシまで大量にため込んでいる。見た目によらずマメなたちのディフは、それらを暇を見てはきちんと整理していたが、ここのところ外まわりや突発のペット探しの依頼が多く、ほったらかしになっていた。
手にとった書類ケースには、新聞や何かのコピー、写真、その他メモや一見なんだかわからないものまで入っている。大半が新聞のはずだが、大きさはまちまちだし、中には切り抜いてすらいないサイズものもあって、明らかに数ヶ月分はため込まれていた。
書類ケースの中にはいくつか仕切りがあって、おそらくディフ自身にはわかるように分けられているんだろうが、ぱっと見ではさっぱりだ。手をつけるにしても、どれをどこに格納するか、いちいち調べなくてはならない。
幸い、時間はたっぷりあるが……ディフは例によって外に出ていて、今日は電話もかかってこない。ディフがいる時に確認をとりながらやるのが1番いいんだろうが、それだといつになるかわからない。今入っている依頼が片づくまでにはまだまだかかるはずだ。
本気でやりだすと数日かかりそうな気がする。
いっそ電子媒体に取り込めば検索効率は上がりそうだな……と考えるが、ディフはアナログが好きらしいので、おそらく却下されるだろう。
しばらく考えて、やはり今日とりかかるのはやめにした。
こういうものは実際に使う人間がわかっていないと、後で困る。
かわりに事務所にある一番古い事件記録簿を取り出す。
データの全てをデジタル化することは、不可能ではないがすぐには無理だ。そして検索性を高めるにはインデックスがあればいい。今もおおむね日付順になってはいるが、時々前後しているし、探すのはディフの記憶に頼るところが大きい。
まず、全てのファイルを事件ごとにナンバリングする。そして簡単な事件の内容などをデータペース化する。それで自分も全部の事件に目を通すことができる。
うん、いい暇つぶしになりそうだ。
▼ 踊り場
2009/05/03【お題】
不意に引き寄せられた。
もちろん理由がある。
階段から落ちそうになったのだ。腹立たしいことに。
それでも一瞬、身体が反応しそうになる。
それを意志の力で押しとどめるのにどれだけ苦労してるのかわかってるのかコイツ。
いっそとめなければいいとも思うが、そうしたら怪我じゃすまないことになるし余計にめんどくさい。
ああ、くそ。
俺を抱き寄せた張本人は、「危ないだろ」なんて言ってるが。
「お前が気付かないなんて珍しいな。ここの階段が汚れてること自体が珍しいっちゃ珍しいけどな」
エレベーターが故障中で、珍しく階段を上がってきたらこれだ。
おそらく修理に来た連中が機械油かなにかを落としたんだろう。
階段の踊り場にはいくつか光る模様ができていた。
「いいかげん離せ」
「いやーせっかく役得だからもうちょっと、いでっ」
脛を蹴り上げた。
「あいかわらず容赦ねぇなぁ」
だからなんで蹴られて嬉しそうなんだお前は。
視線を向けたら、照れくさそうな顔になった。
「いやー…ほら、最近お前、蹴る元気もなかったから、さ」
思考を読むな!
返事はせずに、床の模様は避けて階段を上がり始める。
後ろでまだ何かほざいてるが知ったことか。
もちろん理由がある。
階段から落ちそうになったのだ。腹立たしいことに。
それでも一瞬、身体が反応しそうになる。
それを意志の力で押しとどめるのにどれだけ苦労してるのかわかってるのかコイツ。
いっそとめなければいいとも思うが、そうしたら怪我じゃすまないことになるし余計にめんどくさい。
ああ、くそ。
俺を抱き寄せた張本人は、「危ないだろ」なんて言ってるが。
「お前が気付かないなんて珍しいな。ここの階段が汚れてること自体が珍しいっちゃ珍しいけどな」
エレベーターが故障中で、珍しく階段を上がってきたらこれだ。
おそらく修理に来た連中が機械油かなにかを落としたんだろう。
階段の踊り場にはいくつか光る模様ができていた。
「いいかげん離せ」
「いやーせっかく役得だからもうちょっと、いでっ」
脛を蹴り上げた。
「あいかわらず容赦ねぇなぁ」
だからなんで蹴られて嬉しそうなんだお前は。
視線を向けたら、照れくさそうな顔になった。
「いやー…ほら、最近お前、蹴る元気もなかったから、さ」
思考を読むな!
返事はせずに、床の模様は避けて階段を上がり始める。
後ろでまだ何かほざいてるが知ったことか。
▼ 歩く
2009/05/03【お題】
歩くのは嫌いじゃない。
サンフランシスコは坂道が多いというよりは坂道しかない。という印象だ。
レオンの家が坂道の頂点に近い場所なせいもあるが。
ここに慣れてからは、事務所への行き帰りはよく歩くようになった。
ケーブルカーも悪くはないが、人が詰まりすぎている時もある。観光シーズンは特に。
朝、シエンと一緒に出なくなってからは、余計に歩く時間が増えた。
元々、法律事務所のほうが始業時間がはやい。
開いた時間は上で自習に使っていたが、それも今はやめてしまった。
最近の平日のパターンは、オーレに起こされて、カリカリをやってから自分の食事をして。軽く身支度して、玄関を出てすぐまではシエンと一緒だけれど、その後シエンはケーブルカー。こちらは徒歩になる。
ディフはそれぞれ一人(今は特にシエンのほうだろうが)になることを心配しているようだが、しばらくはこのままだろう。
ケーブルカーの通っているカリフォルニアstぞいには店が多く、人も車も流れている。気になるのは観光客ぐらいで、昼間歩いている分には特に危険でもない。
日差しよけに帽子と薄く色のついたサングラス、それからオーレのケージがわりのカバンを持って歩く。
一度習慣になると、自分で思うよりずっと、それが気に入っていたことがわかった。
自分でも、以前ほど周囲を警戒していない。
一人のほうが、気を張る必要がないのだと気付くには少しかかった。
カリフォルニアの空は青い。
見上げると、海鳥が飛んでいくのが見えた。
サンフランシスコは坂道が多いというよりは坂道しかない。という印象だ。
レオンの家が坂道の頂点に近い場所なせいもあるが。
ここに慣れてからは、事務所への行き帰りはよく歩くようになった。
ケーブルカーも悪くはないが、人が詰まりすぎている時もある。観光シーズンは特に。
朝、シエンと一緒に出なくなってからは、余計に歩く時間が増えた。
元々、法律事務所のほうが始業時間がはやい。
開いた時間は上で自習に使っていたが、それも今はやめてしまった。
最近の平日のパターンは、オーレに起こされて、カリカリをやってから自分の食事をして。軽く身支度して、玄関を出てすぐまではシエンと一緒だけれど、その後シエンはケーブルカー。こちらは徒歩になる。
ディフはそれぞれ一人(今は特にシエンのほうだろうが)になることを心配しているようだが、しばらくはこのままだろう。
ケーブルカーの通っているカリフォルニアstぞいには店が多く、人も車も流れている。気になるのは観光客ぐらいで、昼間歩いている分には特に危険でもない。
日差しよけに帽子と薄く色のついたサングラス、それからオーレのケージがわりのカバンを持って歩く。
一度習慣になると、自分で思うよりずっと、それが気に入っていたことがわかった。
自分でも、以前ほど周囲を警戒していない。
一人のほうが、気を張る必要がないのだと気付くには少しかかった。
カリフォルニアの空は青い。
見上げると、海鳥が飛んでいくのが見えた。